20年ぶりのインフレ社会をどう活かすか? ハイパーインフレ編
長々と書いてきた20年ぶりのインフレ社会をどう活かすか(前回の記事はこちら)、今回は最後にハイパーインフレについて、書いてみたいと思います。
ハイパーインフレは国家破産時やそれに類似した国家の大混乱時に起こります。
このようなことが起きると、その直前からその国の通貨は大きく売り込まれるようになります。
通貨の大暴落は想像以上にすさまじく、悲惨の一言です。
図32(サブプライム後の新資産運用―10年後に幸せになる新金融リテラシーの実践より)はロシアが1998年8月に財政破綻した後の通貨の暴落を現したものです
1997年7月に、1ドル=6・24ルーブルだった相場は、
財政破綻1ヶ月後に14・84ルーブル、1年後に25ルーブルを超え、3年後にはとうとう30ルーブルに達しました。
また、通貨が暴落すると、それに伴う物価の急上昇、ハイパーインフレが同時に起こります。
図?(同サブプライム後の新資産運用より)のロシアの物価上昇率を指数化した表では、1997年を100として計算すると、
財政破綻した年に184、その1年後に251、3年後に358、5年後には462に上昇しています。。財政破綻の1年後に物価が2・5倍になるという事が実際に起こったのです。
国家が破産すると預金封鎖も起こります。
ロシア国民はロシア国内の銀行から預金の引き出しができなくなり、国民生活も破綻に追い込まれます。当時のロシアでは、非常に多くの自殺者が出たといいます。
これを実際の日本の数値で考えてみましょう。
1ドル=6・24ルーブル → 財政破綻1ヶ月後 14・84、1年後25ルーブル、3年後30ルーブル
この6・24ルーブルを二倍にすると12.48。これを10倍すると124.8 今のドル円レートとほぼ同じになります。それも基に計算すると以下のようになります
1ドル=124.8円 → 財政破綻1ヶ月後 296.8円、1年後500円、3年後600円
ということになります、これが起こったら本当に怖いですね。
なお、ちなみに当時の物価の推移は
1997年を100、財政破綻した年184、1年後251、3年後358、5年後462となっていたので、
実質的な外貨資産は、1年後に500/(184〜251)=2〜2.5倍あたりがピークでした。
つまり、ロシアのハイパーインフレでは、物価と外貨の価値の動きに時間差があったわけです。
もしハイパーインフレで儲けようと考えるのであれば、外貨をいつ自国通貨に戻し何を買うかがポイントになります。
歴史上、過去のデータでは?為替 ?金 ?物価 ?不動産 ?株価の順番に価格が上昇しています。
つまり、為替でリスクをヘッジし、資産保全した上で、ハイパーインフレ時為替が吹っ飛んだ、どこかで外貨を自国通貨に戻し、国内の不動産や株価などで割安なものを探して、そこに投資するというのが、理論的には最も利益になるわけです。
このようなケースでは、ドイツで起きた株価と不動産価格のタイムラグが参考になります
以下「お金は「歴史」で儲けなさい」より抜粋
同じようにハイパーインフレになったドイツ。
自動車会社ダイムラーはドイツを代表する企業のひとつです。ハイパーインフレで混乱しているといっても、フランスやイギリス、米国はいつも通りの豊かな生活を満喫しています。彼等は当然のようにダイムラー製の自動車を欲しがりますから、生産は通常通り行われていました。
しかしダイムラーの株主の中には、毎日の生活資金に窮してしまい、株を手放す人が多かったようです。このためハイパーインフレであるにもかかわらず、ダイムラーの株価は暴落してしまいます(見かけ上はインフレですから上昇していますが、物価を考慮した実質株価では大幅なマイナスとなっていました)。
しかし、結局のところ同社の株価は最終的にはインフレに追い付きます。
この時に、底値でダイムラーの株を買った投資家は、インフレが収束した頃には莫大な利益を得ていたわけです。
同じように、ドイツ国内の優良不動産も、しばらくは破格の値段で放置されていました。この間に、こうした物件を取得できれば大きな利益を得られたわけです。
戦争前後の日本では、為替取引が制限されていましたが、ドイツの場合には、為替は自由に取引できました。【抜粋ここまで】
以上のように、ハイパーインフレは国内外に多大な影響があります。ただ事前に準備をしておけば、大きく利益を得られるチャンスでもあるのです。
ギリシャが破綻すると言われてから、実際に銀行封鎖が行われるまで大分時間がありました。
もし日本が破綻するとしても一晩で全て決められるわけではないでしょう。
通常の投資をしながら、こういった起こるか起こらないかのレアな事象についても準備をしておきたいものです。
そういう意味では今回のギリシャの騒動は非常に良いサンプルケースなので、儲けた投資家の本がでたら、ぜひ読みたいですね。