20年ぶりのインフレ社会をどう活かすか? スタグフレーション編

少し空いてしまいましたが、前回の続きです。


前回は、経済成長に伴うインフレは誰もが幸せな世界、そこでどんな株が強いかについて書きました。今回は低成長の中のインフレ、俗に言うスタグフレーション下での資産運用について書いてみたいと思います。


そもそも、スタグフレーションとは


「stagnation(停滞)」と「inflation(インフレーション)」の合成語で、経済活動の停滞(不況)と物価の持続的な上昇が併存する状態を指します。(wikiより)


まるめると物価は上がるけど、給料は上がらない世界です。いやはやぞっとします。
歴史上何回か、スタグフレーションは起こっています、その場合の株価はどうだったのでしょうか。


参考になるのが1970年代の米国です。当時の米国や英国は低成長とインフレに悩まされていました。
米国がスタグフレーションに陥ったきっかけは、ベトナム戦争による財政危機、製造業の競争力低下、オイルショックによる石油価格の上昇などがあげられます。(ここでは詳細は割愛。)


この1970年〜1980年の10年間の間に米国では、


消費者物価    平均7・5%(約2倍上昇に相当)
実質GDP成長率 平均3・1%(約1.4倍に相当)

と経済成長率より、物価の上昇が進んでいました。
平たくいうと、モノの値段は2倍になったけど、給料は1.4倍しか増えていないということです。購買力は10年で激減です。


この10年の間に、ダウ平均株価は、70年代の前半は物価上昇に伴って株価も上昇しましたが、米国企業の競争力低下が顕著になってくると、その後は株価下がり、600ドルから1000ドルの間を行き来する、ボックス圏相場でした。単純な指数への投資は現金より、マシ程度で、儲けるという状況ではありませんでした。


参考 1928-2013 ダウ平均 の長期推移 NightWalker's Investment Blogより


では、米国を代表する4銘柄の当時の株価推移はどうだったでしょうか
・生活必需品としてP&G
・資源株として石油メジャーのエクソン・モービル
・製造業として重電大手のGE(ゼネラル・エレクトリック
・自動車大手のGM(ゼネラル・モーターズ


米国を代表する4銘柄の当時の株価推移 表参照 「お金は「歴史」で儲けなさい」より


最上のパフォーマンスを出したのは、オイルショックによる石油価格上昇の恩恵を受けたエクソン・モービル。物価を考慮しても2倍になっています。


あとの銘柄は、当初は調子がよいものの、インフレの影響が深刻化してくると、結局株価はもとに戻っています。
GMが1番低迷している理由は、企業としての競争力低下が激しかったこと、国内の販売が中心でドル下落の恩恵をあまり受けなかったこと、などが上げられます。
一方、P&Gは生活必需品を扱っており、まだGMよりはインフレに対する耐性が高かった、また、GEはグローバルに製品を展開している点で有利だったようです。


ただ4社とも株価が物価の上昇に対しては追い付いていたという意味で、資産防衛の約割は十分に果たしたとはいえるかもしれません。


上記を参考にすると、ある程度の基礎体力があり、グローバルに展開している、あるいは需要が減らない商品を扱っている企業の株は、スタグフレーションから資産を防衛可能があります。


これについて、日本企業では、「お金は「歴史」で儲けなさい」によると7203トヨタ自動車、9984ソフトバンク、5938LIXIL、4452花王、この4社が該当する可能性があると上がっていました。
そこでこのインフレ傾向の2年間の株価推移を調べてみたのですが、その成績はまちまちでした。


(これが投資の難しさで理論的にはこうこうだとしても、実際の値動きは理論通りに行かないというものです。)


ただ、今回記事に書いたように、スタグフレーションに日本が陥った場合は、日経平均株価は10年単位でボックス相場になる可能性があります。
その場合は日本株で資産運用をするのであれば、グローバルに展開している、あるいは需要が減らない商品を扱っている企業の株を探しだして、投資することが大事だと言えるようです。
(私の場合はイベント投資が、今のように使えれば、それほど悲観することはないと思ってます。また、上げようと下がろうと利益を取れる斎藤さんのシステムトレードを勉強するのも手だと思ってます。)


さて、次回はスタグフレーションのさらに先、ハイパーインフレ時の資産運用について、書いてみたいと思います、長かったインフレ関連の記事は次回で終わりです。


*今回の記事は「お金は「歴史」で儲けなさい」をかなり参考に書いています。興味のある方は本書を強くお薦めします。