【連載アーカイブ】負けない投資家の思考法 日経マネー 2013年 12月号 「過去から未来を予想する」ことの優位性と危険性

こんにちは、ヘッタチャンです、

過去連載(日経マネー許諾済)「負けない投資家の思考法」の8回目アーカイブをアップです。
イベント投資の一つのやり方に過去の事例で株価がどうなったを記憶し、次に同様の事象が発生した場合どうなるかを予想するというのがあります。
ただ過去こうだったから今回も必ずそうなるわけではないということ、その辺を私がどう考えているか、書いてみています。

当時の記事は以下の通りです。

今回のテーマは「過去から未来を予想する」ことの優位性と危険性です。

2020年に東京五輪の開催が決まり、2014年4月には消費税が5%から8%にあがることが決まりました。ここで投資家として考えるべきことは、同様のことが起きた過去に、相場がどう動いたかということです。

まず、1964年の東京五輪について、開催決定から開催までの間に、株価がどう動いたか、どういった企業の業績が伸びたかを調べれば、これから7年間、どういった企業を買うべきかがわかります。すでにこの記事を書いている時点で、建設株、ホテル株などが大きく買われています。前回のオリンピックでは上場されていなかった警備会社株も期待で買われています。

次に、ここ十数年の間にオリンピックが開催された国の景気はどうだったのかという視点です。歴史ある世界的イベントとはいえ、この何十年もの間に大会の性質は変わっています。1964年当時の五輪に、エコや自然環境保護の視点は必要とされていたわけではありません。比べるならば、近い時代に開催された五輪が重要となります。

さて、五輪と相場についての詳細な分析は他に譲るとして、次に書くことが「負けない投資家の思考法」として、今回最も伝えたい部分になります。

それは「市場の値動きや企業の業績推移が、過去にあったパターンと同じようになるのが確実と思えるようなときでも、過去と今の市場の展開は、決して同じにはならない」ということです。

なぜなら、今見えているパターンが前回と全く同じものになるためには、前回起こっていたあらゆる出来事が今回も同じように起きなければならないからです。様々な会社、行政、政治、文化が、前回と全く同じように互いに影響し合っていなければ、全く同じ結果にはなりません。そんなことが起きる可能性はまずありません。

未来を分析するために、「以前はこうだったから、今回もこうだろう」と予想を立てる。これはとても大事なことです。でもその過去は、なにか一つでも異なる事件・出来事があれば、知っている過去とは違った結果になっていた可能性があります。極論すれば、あなたが赤信号を渡るか渡らないかで、世界は変わりうるのです。

つまり、世界のどこかで起こるたったひとつの出来事で、過去の五輪を根拠にした、2020年東京五輪にまつわる投資分析が否定される可能性があるわけです。
その日の引けまでにすべてのポジションを手仕舞うデイトレーダーでない限り、市場が閉じてから、再開するまでに相場に影響を与える大事件が起きてしまったら、取れる手段はほとんどありません。先物や為替、夜間取引などで対処する術もありますが、完全な対処はできないでしょう。

過去の値動きを分析し、それを元に予想したポジションを取れば、闇雲に株を買うより勝率は高くなるでしょう。でも、それはあくまで普通より有利なだけであり、必勝ではないのです。相場にはどんなことでも起こり得る、ということを肝に銘じておく必要があります。

わずか数週間の間に、世紀の大発明でエネルギー問題が解決する可能性もありますし、逆に災害やテロなどで一つの都市が壊滅することだって起こりうるのです。そうなれば、相場は大きく上下することになりますが、これを予測するのは不可能です。ポジティブな事件とネガティブな事件、どちらが起きるかは分かりません。

2011年3月11日の地震は本来なら滅多に下がらないはずの3月優待銘柄をも20%以上押し下げました。

負けない投資家になるために必要なのは、マクロ経済や個別企業を分析しても全てを読み切ることはできないと知った上で、それでも分析を、考えることを止めないことです。過去の事例を元に、勝てる確率の高い戦略を立てつつ、それが否定された場合への備えも怠らない人が、負けない投資家になれるのです。

抜粋ここまで

今年初めのVIXショックで97%やられた自分によく読ませてやりたい内容です(自爆
テールリスクをおろそかにしていたことを過去の自分が教えてくれました。。。

投資法は様々で優劣はないですが、最悪の事態のその斜め上の最悪の二乗のような出来事が起きても大丈夫なように、ポジションを取って投資をしていきたいものです、自戒を込めて