幸福の「資本」論 日本人の遺伝的特徴を前提とした人生設計

こんにちは、ヘッタチャンです。


何回かに分けて紹介してきた橘玲氏の「幸福の「資本」論」


前回記事
・幸福の「資本」論―あなたの未来を決める「3つの資本」と「8つの人生パターン」
・「幸福の「資本」論」−お金と幸福に関するシンプルな法則・幸福の「資本」論 幸福な自己実現のために知るべきこと


前回の続きで
なぜ、「人間の脳が、近年の資本主義社会、政治的な人間関係にうまく適応していないか」について書いてみたいと思います。


まず橘氏は、以下のように書いています。


セロトニン運搬遺伝子の発現量が低いSS型のひとはハイリスクの金融商品に投資する率が平均より28%も少なく、その一方で、脳内のドーパミン分泌にかかわるドーパミン受容体D4遺伝子が長いタイプのひとは、対照群に比べて、リスクを冒してでも儲けを増やそうとする率が25%高いことがわかりました。
投資における態度、ひいては人生における重要な岐路でどのような選択をするかは、遺伝子によってあらかじめかなりの程度予測できるのです。


実は私が、今の投資方法についてセミナーや本を書きたくないのは、この部分を気にしているからです。
投資に求められる才能がある一定の以上の部分が遺伝によるものであれば、デイトレードやスイングの能力はかなり遺伝的にならざるを得ないと。
(よく日本人は、諸外国に比べ投資をしないという話がありますが、これはこういった遺伝的要因もあるようです。)


とすると、何かを教えるにしても向き不向きがまずあり、その後に教育があるとすれば、教えた人たちの成功を自分の武勲にするのも嫌だし 逆に失敗の原因とそしられるのも嫌だなぁと。
(中期や長期投資だとこの部分は努力やかける時間で、才能の補正が聞くと勝手に思っているのですが(なのでこちらの投資を教える方々、尊敬しています。)


ここ最近日記に書いたように、私は遺伝的にマイナスに異様に弱いのだと思います。含み損に耐える力みたいのがあれば、また違った成績が残せたのにと思うことしきりです。
(この辺の話は「プロスペクト理論」というのにまとめられているものでもありますが)


また氏は、以下のようにも述べています。


進化論的にいうならば、ヒトは不幸からの回復力(リジリエンス)を手に入れるために、幸福を犠牲にしています。
人生のさまざまな出来事に遭遇して一時的には幸福になったり不幸になったりしますが、その感情はいずれいつものレベル(それはおそらく遺伝的・生得的に定められている)に戻っていくのです。


人生設計の理想のポートフォリオを手に入れれば、家族関係や健康問題のようなどうしようもないもの(運命)を除けば、日々のストレスはほぼなくなります。しかしそれは、主観的には、「他人よりもちょっと幸せ」といった程度のものかもしれないのです


上記は、「幸福の絶頂」「不幸のどん底」という言葉がありますが、実はそこにいられるのは、そんなに長い時間でありませんよという話で、人はどんな状態にも慣れてしまう生き物です。
なので、近年の資本主義社会、政治的な人間関係にうまく適応していないかという話に戻ると、どんなにうまく対応したとしても、それに慣れ不満が出てくるのが人間のようです。昔に比べ圧倒的に人生のスピードが速くなると、様々なイベントで感情が上に下に振られ、また元の場所に戻るを昔よりずっと多くを繰り返させられ、起伏が激しくなっているわけです。


ひとびとはなぜ、人間関係を政治空間から貨幣空間に移して「ソロ充」化していくのでしょうか。それは、「いちどだけの強い痛みより、弱い痛みが持続する方が幸福度を大きく引き下げる」という幸福の法則から説明できます。 幸福の研究では、離婚や愛するひととの死別より、毎日の満員電車の長時間通勤の方がひとを不幸にするという結果が繰り返し示されています。


とも書いてあり、上下の激しい人生イベントと日々の細かなストレスと幸せのメンテナンスをうまくこなせてないのが人間の脳であり、現代に生きる我々の学ぶべきところは、経済心理学と行動心理学と社会心理学なのだと気づかされます。


その辺の細かなことは本書を読んでもらうとして、最後に希望を感じさせる二ヶ所の抜粋をもって、この本の紹介を終わります。
みなさんの投資生活の一助にこの紹介が役立てば幸いです。


セロトニン運搬遺伝子についての最新の知見は、うつに対して脆弱な日本人が、よいことにもっとも敏感に反応できることを示してもいます。
すなわち自分に適した環境に身を置くことで、?鈍感?なひとにはない幸福を手に入れることができるかもしれないのです。


そのためには、日本人の遺伝的特徴を前提として自分の人生を設計しなければなりません。よりわかりやすくいうならば、ストレスのない環境を設計できれば、私たちは「楽天的」とされるラテン系やアフリカ系のひとたちよりもさらに楽天的になれるかもしれないのです



あらゆるひとに適した、普遍的な「幸福の法則」はありません。この本もすべての読者が満足することはないでしょうが、それは仕方のないことでもあります。しかし心理学者は、どのようなアドバイスが有用なのかを明らかにしました。その原則はとてもシンプルです。 ひとは、自分と似ているひとからの助言がもっとも役に立つ。 この本が、「私に似た」あなたの人生になんらかの役に立てば幸いです。 2017年5月 橘玲