美味しんぼとみにくいアサヒるの子


みにくいアサヒるの子あとがき


本書を書くきっかけは、東日本大震災でした。東京電力が起こした歴史上類を見ない人災が、今後お金という視点から考えて、どうなるか、サンプルケースはないかと調べた所、みつかったのが水俣病の歴史でした。


歴史の教科書で、社会の授業で何となく知っていると思っていた水俣病について、いざ調べてみると、私はなにも知りませんでした。どうしてここまで、酷い目に遭わなければならないのか、遭わせることが出来るのかと、自分でも驚くほどの怒りが込み上げてきました。これがまた繰り返されるのだとしたら、少しでも止めることは出来ないかと考えた結果、私は「みにくいアサヒるの子」で「人は悪意を持って、お金のために、自分を守るために、自分のポリシーのために、平気でウソをつくことがある」という警鐘を、モノガタリで鳴らすことにしました。


多くの人は、昔から、親や学校の先生、まわりを取り囲む大人達に「ウソは泥棒の始まり、ウソだけはつくな」、そう言われて育った人、多いと思います。


なので、私たちの心にはウソはついてはいけないものだ、そういう刷り込みがあると思います。
その一方でほんの些細なウソ


−例えば、合コンで男性が身長170センチないのに、173センチと見栄を張ったり、年収500万もないのに、だいたいそんなところですって答えたり、女性が30歳を超えてるのに、27歳ですってサバ読んだり、体重50キロなのに、45キロって答えたりと、そんなたわいもないウソを一度もついたことがない人もまた少ないでしょう。


とはいえ、ほとんどの人は、積極的にウソをつこうと思ったことはないでしょう。
だから、誰かが、なんの罪悪感もなく、人の一生を台無しにしてしまうようなウソを、つくなんて想像しません


でも実際は、そんなウソが世の中にはたくさん、本当にたくさん、まかり通ってます。とくにお金が絡むとそれは顕著になるようです。


(中略)


営利企業は、利益を得るためならば、躊躇なくウソで、人の人生を壊すことがあること。
その人にとっては一生の問題でも、企業にとっては何千もある案件の一つでしかないことを、私たちは知らなくてはいけません。


すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではないと憲法でいわれる公務員は、省益と自己保身のためにどんなウソでもつきます。そして、それは今までもこれからもかなり有効でしょう。


今回のモノガタリでは取り上げきれませんでしたが、法の正義に従った判決を出すはずの警察と検察では冤罪が繰り返され、最近では証拠の隠滅まで計りました。
老後のための資産を預かった運用機関は資産が増え続けたとウソをつき続け、その間に企業が預けたお金は1/10になりました。社長はウソをつき続けながら、毎年1億の年収を取っていました。


日本という国では、上の方に行けば行くほど、金に近ければ近いほどウソがあふれていて、むしろそれを使いこなせなくてはならないのかもしれません。


今回のモノガタリでは、おなじみのヘッテルとフエーテルが「ウソ」に巻き込まれて、酷い目に遭ってもらいました。


本書を読んで、お金が絡む「ウソ」はどのようにつかれるのか、その対処方法、利用方法をモノガタリから少しでも気付いてくれたなら、ヘッテルとフエーテルがひどい目に遭った甲斐もあるというものです。 読んでくださった方に少しでも気づきのきっかけを与えられたなら幸いです。


2013/06/30 マネー・ヘッタ・チャン




5月になって寒い日々が続いて、体調がヘッテルなマネー・ヘッタ・チャンです。
みにくいアサヒるの子で、CTは被爆リスクが〜とか書いていたのに、検査を受けちゃう有様です。やれやれでぃす。


さて、今回のあとがきを載せた理由ですが、みにくいアサヒるの子を読んでくださった方々の感想を読むと、後書きがよかったというのを何人かの方に頂いたので、せっかくなら、この部分だけでも読んでほしいと思い、今回のブログに掲載してみました。
*中略の部分は本書のネタバレになってしまう部分なので、掲載を控えました。


それに加えて、ちょうど今ネットや社会問題として、スピリッツで連載中の「美味しんぼ」で福島の放射能について、書かれたことで賛否両論が巻き起こっていますが、みにくいアサヒるの子で、水俣病を調べた私としては、そういう可能性もあるだろうと感じています。


参考 鼻血原因は「被ばく」…「美味しんぼ」最新号


これらのニュースとそれらに関する意見を読んで、私が思うのは、批判されている方も評価されている方もかなり断定的であるということで、それがとても怖い。


福島への風評被害という言い方が良くされますが、まだ真実かわからない状態での問題提起は、事実だった場合の警鐘となります。
水俣病が公害であり、チッソが原因だと国が認めたのはいつだったのか?チッソがどのように症状を隠蔽していたか、を知らない人がほとんどなのだろうなぁと。脊髄反射的に、自分の中にある答えで回答しているように見えます。


証拠として、放射線と鼻血の因果関係を正確に把握するには時間が全然足りないでしょう。
そういった暫定的なデータしかない中で注意を促すということを私は必要だと思います。


外部の人間が、福島の人たちの気持ちを考えろというのは、素晴らしいことでしょうが、その言葉で福島に残る人が多くなり、結果被害が多くなった場合は誰も責任を取らないことは明白なのですから。


公害の原点としての水俣病を物語で知るため、みにくいアサヒるの子の最終話を読んで頂けたら、少しだけ今回の件が如何に複雑なのかわかってもらえるのではと思います。


今後みにくいアサヒるの子の各話の解説を不定期ですが、このブログで行っていきたいと思いますので、たまに読みに来てくだされば幸いです


ヘッテルとフエーテルのみにくいアサヒるの子




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