頂上まで行ったら失敗しろ → 世界一の庭師の仕事術


マネー・ヘッタ・チャンのモノガタリ


昔々あるところに、ヘッテルとフエーテルという兄姉がいました


ヘッテルとフエーテルは貧乏な家庭に育ち、貧乏の悲惨さを嫌と言うほど見聞きしたので、お金持ちになりたいと心の奥底から強く思っていました


大人になった二人は、その強い思いを忘れず、それぞれ別のビジネスを起こして成功をしました
兄姉は貧しい頃夢だった1億円という資産を築くことに成功したのです。その時、二人はまだ30代でした。


目標を達成した二人は一息をついて考えました
ヘッテルはこの大きくなった事業を、今のペースで続けていこうと考えました


一方フエーテルは、もっとお金持ちなりたいと事業を多方面に展開することに決めました
今まで培ったビジネスとは違うビジネスにも手を出すことにしたのです


結果二人とも失敗しました


ヘッテルは、ビジネスのやり方を成功した当時と変えなかったので、新興企業に追いつかれ、抜かれ、気づけばシェアを失ってしまいました


エーテルは無理な多角化路線の失敗が本業にまで響き、最終的に資金繰りに行き詰まって倒産です


一度は成功した二人でしたが、結局また貧乏に戻ってしまいましたとさ
めでたくなしめでたくなし



こんにちは、2010年は受難の年になっているマネー・ヘッタ・チャンです。


色々と試行錯誤しているのですが、出版してからの様々な出来事にいまひとつ手応えがなく、悶々としています


ただ最近は、人生のある時期には、この悶々とした気持ちが必要だと思うようになりました
なぜなら、人はいつまでも同じ熱量で走り続けられないからです


今回のモノガタリ世界一の庭師の仕事術 路上花屋から世界ナンバーワンへを参考に書きました


著者は九州でナンバーワンの花屋になり、上場を目指して事業を急拡大します
そんな渦中の中、著者はまったく仕事に対して熱を失います


その描写を読んで、人が見ている事象と、個々人の内面はこうも違うのかと思い知らされました


「成功する」と言うのは簡単です
また一時成功するのも、そう難しくないでしょう


ただ心身ともに満たされ、周りと長期的に成長していける成功とは、なんと難しいことなのかと
それを目指すためには、なにをどうしなければいけないのか


それを考えるのに、これほど率直に記した本はなかなかありません。
また、この本は成功と挫折、そして再度の成功のモノガタリとしても面白いのですが、走りすぎて、目標を通り過ぎてしまった、次の目標が見つからない、そんな人や、将来そうなりそうな有望な人にもオススメの一冊です


ぜひ読んでみてください


モノガタリの参考にした一説


74頁 思い描いた夢を実現すべく駆けのぼり、ある到達点に達したとき、そのまま上りもせず、下りもせず、まあまあでやっていくこともできるでしょう。


それでもぼくは、そうなったときこそ、一度失敗をしたほうがいいと思うのです。失敗は絶対に、せないかん。息の根が止まってしまうような失敗にさえならなければ。


長崎で一番の花屋になるという山をのぼり切ってしまったあとのぼくは、自動販売機をつくってみたり、大手通販会社に企画を持ち込んだり、花屋のコンサルタントをしたりと、会社を大きくするために、もっとお金をもうけるために、仕事を拡大しようとしていました。けれど、やればやるほど何かがむなしかっか気がします。


最初は、花でお客さんに喜んでもらうために、感動してもらうために商売をしていたはずなのに、心をどこかに置き忘れてしまっていた。



90頁 思い描いた夢や目標にたどり着こうと、誰よりも必死になって走れば、予想外の早さで到達できることがあります。たどり着くまでの道のりすべてが自信となるし、思い描いた山のてっぺんに立てたときには、「人の何倍も必死になったのだから当たり前だ」という自負も生まれます。


けれど、そこから先に進めない。以前なら一〇の力で挑まなければならなかったことが、七の力、ときには三の力でできるほど、自分に力はついているのに、しびれるような達成感を得られる瞬間がなくなっていく。そして、力がついた分だけ、知らず知らずのうちに必死さも減ってゆく。


「昔の熱さが、味わえなくなった」と、言葉にならないまでも心のどこかに物足りなさがくすぶっていて、不完全燃焼な自分をもてあます。


だけど、不完全燃焼な自分に気づきたくないからか、気づいたところでどうすればいいのかわからないからか、自分の本筋とは別のことに、手を広げていってしまうのです。


 「事業をもっともっと大きくしよう」
 「そこそこの自分になったのだから、いい服を着よう。いい車に乗ろう」
 「エグゼクティブな人脈くらい、そろそろもってもいい時期だ」


けれどこれらは、自分を大きく見せようとしているだけにすぎません。それに気づかず、自分を大きく見せようとすればするほど天狗になり、必ずしっぺ返しがやってきます。


大きく見せようとすることと、もっと大きな人間になることとはまるで別物。
多少有名になったり、エグゼクティブたちと知り合えたりしたところで、以前の自分は越えられない。一度目標を達成したときの自分を越えるには、自分の熱くなれることを見失わず、そこからそれずに、積み上げていくしかないのです。
自分が突き動かされる原点を、思い出すしかないのです。

(中略)

もし、以前のように熱くなれない自分をもてあましているのだとしたら、全力で動いてみることです。あれこれ思いつくものすべてに手を出して、やってみる。きっと、モノにならなかったものがうずたかく積まれるでしょう。けれど、そのなかに次に続く何かが一つ、二つと残るはずです。


現状維持のまま動かずにじっとしていても、残酷なまでに時間は流れていきます。
一つや二つの失敗に、めげることなかれ。
失敗からしか学べないこともたくさんあるのだし、失敗したっていいじゃありませんか。完全にアウトになる手前のギリギリの失敗ならば、必ず、立ち直れます。


その代わり、やるからには精一杯、全力でやる。失敗しても、めげない。あきらめない。
そうすれば、出口を探してもがいた時間のなかに、必ずや答えを見つけることができるでしょう。
抜粋ここまで
(注:紹介のため、改行や行間を一部訂正しています)